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【風熱邪対策!保存版】正しい漢方薬の選び方
2024.2.24
本記事では、風寒邪と風熱邪に対する漢方薬の選び方について紹介します。
日本では風寒邪に対して葛根湯がよく用いられますが、風熱邪には銀翹散や駆風解毒湯が適しています。
これらの違いは、日本と中国で異なる体質傾向に基づいています。日本人の冷え体質と中国人の熱体質の違いが、風邪のタイプに影響を及ぼしています。
たしかに、昔の中国の方は冷やすことに対して、日本人より敏感で、生野菜は食べず、冷たいお茶は身体に悪いと言って飲まないですし、日本で冬にスカートをはいている女性がいることにびっくりしたという話を良く聞きました。(でも最近の若い中国の方はそうでもないかもしれませんね)
風邪の初期症状を撃退!「風寒邪」に効く漢方薬の選び方と注意点 →
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『風熱邪とは』
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風熱邪は、寒気の代わりに顔や頭のほてり、強いノドの痛みや鼻づまりなどの炎症症状が特徴です。
布団にくるまって寝ていたいというよりも、暑苦しくて薄着になりたい、冷たい果物などを食べたくなるような症状です。
日本では風邪=葛根湯と思われているので、この症状に葛根湯を使ったら大変なことになります。
誤って風寒邪の治療に用いる葛根湯を使用すると、症状を悪化させる可能性があります。
風熱邪の症状の人に葛根湯を使ったら余計に熱をもってうなされ、場合によっては蓄膿症や中耳炎など、ひどい炎症を起こすかもしれません。
葛根湯は冷えて閉塞した表皮を温めて汗をかく(発表させる)ことで病邪を追い出すので、熱いときには、清熱薬を使って冷ますことが重要なのです。
この「熱い」「寒い」は、体温計で測った数値は関係ありません。あくまでも体感で判断します。
漢方薬の選び方
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風熱邪には清熱薬が適しており、銀翹散や駆風解毒湯が推奨されます。
これらの漢方薬は、熱を放散させることで治療を行います。銀翹散は即効性があり、駆風解毒湯は特にノドの痛みに効果的です。
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即効性の「銀翹散」
銀翹散は、古来より日本で使われてきた漢方薬ではなく、近年に中国から日本へ入ってきた中成薬と呼ばれる漢方薬になりますので、それだけ風熱の風邪は重視されてこなかったのかもしれません。
銀翹散は、金銀花、連翹、薄荷、淡豆鼓、荊芥、淡竹葉、芦根、牛蒡子、桔梗、甘草で構成されていて、こちらも主に病邪を追い出すための発表作用がある生薬になりますが、漢方薬の分類としては「辛涼解表薬」になります。
この辛涼解表薬の発表作用は、温めずに熱を放散させ、消炎作用を発揮します。エキス顆粒の銀翹散を溶かして飲むと、薬が通過した瞬間にノドの痛みが軽減するのが分かるくらい即効性があります。
同じ発表作用でも、葛根湯に含まれる麻黄は「辛温解表薬」に分類され、温めながら病邪を追い出すか、冷ましながら病邪を追い出すかの違いになります。
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効果的な「駆風解毒湯」
駆風解毒湯は、防風、牛蒡子、連翹、荊芥、羗活、甘草、桔梗、石膏で構成されています。
比べてみると分かりますが、半分くらいは銀翹散と同じです。石膏は強力な清熱作用があり、渇きを潤します。
防風と羗活は温性の解表薬ですが、止痛作用があるので、銀翹散よりもノドの痛みに特化した漢方薬と言えるかもしれません。
コロナ禍で風邪を引かないための効果的な漢方薬 →
「風邪に使う漢方薬」ひとくちメモ
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麻黄湯から桂皮を抜いて、石膏を加えた麻杏甘石湯(麻黄・杏仁・石膏・甘草)という咳に使う漢方薬があります。
辛温解表薬の麻黄と清熱薬の石膏が入っていて、作用はどっち??と思われそうですが、麻黄と石膏を組み合わせると麻黄の温性が弱まり、残った発表作用が石膏の清熱を強める・・・とされていて、肺熱の咳に用いる漢方薬となっています。(諸説あります)
また、少し漢方に詳しい方でしたら、「黄連解毒湯は清熱薬なのに何故 風熱邪に使わないの?」と思うかもしれません。絶対に使わないというわけではないのですが、黄連解毒湯の清熱薬には発表作用がないので、風の性質がある邪気には向いていないということがあります。(発表作用がある漢方薬と合わせて使うなどはあります)
こだま堂を開業する前ですが、仕事中になんだか頭が熱っぽくなってきてしまい、風邪かな、早退した方がいいかな?・・・という状況になったことがありました。
ちょうど職場に駆風解毒湯のエキス顆粒が売っていたので、それを購入して1包服用したら、30分も経たないうちにすっかり熱っぽさがなくなり、そのまま何もなく定時まで仕事ができた、という経験があります。
エキス顆粒でも早いタイミングで合った漢方薬を飲めば、とても良く効くことに驚きました。
咳の症状に使う漢方薬 →
【風熱邪対策!保存版】正しい漢方薬の選び方 まとめ
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風邪の治療においては、体質や風邪のタイプを正確に理解し、適切な漢方薬を選択することが重要です。
風熱邪には銀翹散や駆風解毒湯を用いることで、症状の改善が期待できます。
また、体の変化に柔軟に対応し、適切な時期に漢方薬を切り替えることが、風邪の効率的な治療に繋がります。
例えば、インフルエンザなどは、初期は寒気や節々の痛みだったのに、途中から熱っぽい熱さに変わる事もあります。
そのようなときは変化に合わせて使う漢方薬を変えなければなりません。
いつも身体の様子に気を配って、柔軟に漢方薬を使いこなせるようになると、風邪症状は自分ですぐに治せるようになると思います。
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長峯 友恵 NAGAMINE TOMOE
多くの方にご自身の自然治癒力で良くなるお手伝いができるように、漢方や養生でサポートしていきたいと思います。
薬剤師・国際中医専門員 統合医療生殖学会子宝カウンセラー / 薬膳アドバイザー / 皮膚細胞活性促進研究会認定カウンセラー / 可視総合光線療法研修終了 / 東京・山梨伝統生薬研究会所属 / 多摩中医薬研究会所属 / 統合医療生殖学会所属
この記事のライター
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nagare
ご相談までの流れ
どうぞお気軽にご相談ください!
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
※病院のお薬をご利用中の方はお薬手帳をお持ちください。
ステップ1
カウンセリング
お困りの症状を始め、お体の体調・体質など丁寧にお伺いします。
(初めてのご相談は30分~1時間程度)
ステップ2
漢方薬の調合
お伺いした体調・体質に合わせて薬草から調合します。
当薬局の煎じ薬はすべて手作りです。
(煎じ薬が苦手な方のために、粉薬や錠剤もございます。)
ステップ3
服用方法や養生法の説明
漢方薬の煎じ方、服用方法から普段の養生など、一人一人に合わせて説明いたします。
ステップ4
サポート
お薬を飲み始めて、気になることがあれば電話やメールなどお気軽にご連絡ください。
飲み始めやご体調が不安定な方などは、こちらからも体調確認のお電話をさせていただくこともございます。
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