2024.1.28
東洋医学で、血に関して特につながりが深い臓器は「肝」と「心」です。肝は血を蔵する役割があり、心は血を循環させる働きがあります。血虚証というと、全体的な血が足りない様子を指しますが、より細かく分析すると「肝血虚証」や「心血虚証」という体質があります。
血が足りない症状として、顔色が悪い、目の下にクマがある、頭のふらつき、かすみ目、爪が弱い、舌が白っぽい・・・などがあります。皮膚は最も外側の組織で、血の栄養が届きにくいですから、血色が悪く見えます。女性は毎月の生理がありますので、多くの方が多少なりとも血虚証に入るかもしれません。
肝血虚証と心血虚証の違いは、それそれが関係し合っていますので、明確に線引きして分けられるわけではありませんが、症状にいくつか特徴があります。
肝血虚証は、肝に通じる器官である目や爪の異常、筋肉の症状・・・例えば足がつりやすい、ぴくぴくする、こわばるといった症状の他、肝の血が足りないと気が高ぶりやすくなるので、イライラしたり、短気になるなどの精神症状が現れます。まぶた周辺のぴくぴくする症状は、ストレスを感じると増えやすいと思いませんか?
肝は気を調節する臓器でもありますので、ストレスなどの邪気を受けやすく、ストレス症状の初期に当たることが多いように思います。
心血虚証は、心臓そのものの症状である動悸や、眠りが浅い、寝付きが悪い、頭がぼーっとする、健忘、精神症状として焦燥感、不安感、悲哀感など胸にぽっかり穴があいたような感じが現れます。
ストレス症状が続いて、より精神が消耗してくると心血虚証の症状が現れやすくなります。イライラしているうちは、まだ気が残っていますが、それすらも足りなくなると無気力になって、学校や仕事に行けない、部屋から出たくない、何もしたくない・・・となってしまうでしょう。
血を蔵するのは肝の役割なので、肝の血が足りなければ他の臓腑にも及びます。初めは肝血不足がベースにあって、それが心に波及して心血虚証になるとも考えられます。
血は体中に栄養を与えるために脈の中を流れます。流す力は心の気で、気血は一緒に巡っています。血には精神活動を支える働きもありますが、これは分子栄養学の「脳の栄養不足でうつ病になる」という考えにも通じると思います。
精神的な病気になったとき、薬だけで治療しようとすると上手くいかない場合があります。抗うつ薬の作用は、主にセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の再取り込み阻害作用で、見かけ上それらをシナプス間隙に増やすだけなので、自力で生合成して分泌量を調節できるようにならないと本当の意味では完治と言えないでしょう。
そのためには、栄養を摂取して、血を増やさなければなりません。血を増やす生薬には、当帰やなつめ、竜眼肉などいくつかありますが、どれも薬膳など食養生でも利用できる栄養豊富な薬草でもあります。天然のミネラルが豊富な生薬の竜骨や牡蠣は、安神薬に属し、精神安定作用があるとされています。漢方薬には、生薬の薬用成分と共に栄養素も含まれているのが、化学薬品にはないメリットだと思います。
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
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