こだま堂漢方薬局

「多摩市の漢方薬局」「府中市の漢方薬局」漢方専門薬剤師が一人一人の体調・体質に合わせて漢方薬の調合をおこなっております。薬だけに頼らず、可視総合光線療法を取り入れ自己治癒力を高めることをモットーにしています。健康相談や健康食品・ハーブのお取り寄せもおこなっておりますのでお気軽にお立ち寄り下さい。

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東洋医学で考える痛みの分類

土曜日, 10月 5th, 2024

現代医学では、痛みの対応として「解熱鎮痛薬」の使用が一般的です。

もちろん、痛みにもいろいろな原因がありますので、リウマチなどの膠原病の炎症にはステロイドを使ったり、片頭痛なら血管を収縮させる薬、運動器の痛みに麻酔薬を打つブロック注射など様々な治療方法があります。

東洋医学では、痛みの分類の仕方が独特で、患者さんの感覚を重視します。それについて分かりやすく説明したいと思います。

まず一つ目に重要なことは「温める」「冷やす」で痛みの具合がどのように変化するかということです。例えば、お風呂に入ると痛みが楽になる、逆に痛みが増すといった感覚です。もしくは患部に熱感があるかどうかも参考になります。温めると楽になる痛みは温性や熱性の薬草を使って痛みを緩和させ、温めると痛む場合には涼性や寒性の薬草を使う必要があります。温めても冷やしてもどちらも変わらない場合は、そこまで寒熱を考慮せず薬草を使うこともあります。(または寒熱夾雑証もあります)もし温めると痛みが増す症状に、熱性の漢方薬を使ったら大変なことになります。この寒熱を判別することは非常に重要なのです。

二つ目は「虚」「実」です。虚実の判別には二通りの考え方があり、一つは痛みの強さで、突然起こる激しい痛みは実であることが多く、慢性化してジワジワ痛むような鈍痛は虚の痛みが多いです。もう一つは気血津液の停滞か不足かの判別です。押すと痛みが増す(拒按)、圧迫感がある、しこりがあるなどは「不通則痛(ふつうそくつう)」と言われる気血津液の流れが悪く滞っていることが原因と考えます。この場合は実の痛みです。押すと気持ちが良い(喜按)、患部が軟弱、疲れると悪化する、女性であれば生理後半や生理後に起こりやすい症状などは「不栄則痛(ふえいそくつう)」と言って、患部に栄養が足りないことが修復不良を起こし、痛みが起こると考えますので、虚になります。

この「寒熱」「虚実」は痛みに限らずどんな症状に対しても重要な分析になりますが、同じ病気の痛みでもこの体質が異なれば使う漢方薬も違うということです。そして同じ人でも経過とともに「証」が変わる場合もあるので、ずっと同じ漢方薬でよいとも限りません。

例えば「実」に使う漢方薬は長期に使うと巡らせすぎて体質が「虚」に変化してしまう場合もありますし、はじめは清熱薬で良かった症状も冷やしすぎると良くない場合もあるので、注意が必要です。

11月の臨時休業

火曜日, 10月 1st, 2024

11月の臨時休業

聖蹟桜ヶ丘店:22日(金)、25日(月)

府中店:17日(日)、24日(日)、25日(月)

祝日の3日(日)、4日(月)、23日(土)は、通常通り両店舗共に休みになります。

ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。

 

がんの漢方相談

金曜日, 9月 13th, 2024

「がんに効く漢方はありますか?」と、ご質問を受けることがよくあります。

例えば、抗腫瘍作用が確認されている薬草などはありますが、あくまでも研究・実験段階ですので、がんに効果があると断言するのは残念ながら難しいでしょう。あくまでもがんをやっつけるのは抗がん剤などの現代医学が第一選択ですので、「がんが消えた!」などの宣伝で、貴重な治療時期を逃さないようにしてほしいと思います。そのような漢方や健康食品は、現代医学の治療を妨げない範囲で補助的にご利用されるのが良いと考えています。

実際に漢方薬が利用される多くの目的は、体調管理や抗がん剤による副作用の軽減です。

よく使われているものとしては、食欲を回復させる「六君子湯」、元気をつける「補中益気湯」、抗がん剤の副作用のしびれに「牛車腎気丸」などがあります。これらはがんを治すものではありませんが、治療の副作用や不快感を軽減することで、役に立つ漢方薬で、病院でも積極的に使われています。

がん治療では、がんそのものをやっつけることに意識が向きがちですが、食欲や体力を保つことはより重要です。食欲や体力があれば侵襲性の強い治療にも耐えられる確率が上がりますし、途中で治療を中断せずにやりきることができます。

また、積極的ながん治療ができなくなってしまったとき、病院から見捨てられたように感じてガックリきてしまう方は多いですが、食欲や体力が維持できれば、元気で過ごせる期間が長くなって、本来の寿命までがんと付き合いながら生きていくことができる方もいらっしゃいます。

「がんでは死なないがん患者」の著者、東口高志医師によると、余命1か月ほどの末期と考えられるがん患者さんに適切な栄養療法を施したところ、それ以上良くならない患者さんは17.6%で、残りの82.4%の方は栄養管理が不適切だったせいで、栄養失調に陥っていたと書かれています。がんの末期に多く見られる「悪液質」は、栄養不良による衰弱です。一昔前までは、栄養を摂るとがんが大きくなると考えられていて、断食療法など極端な栄養制限が流行っていたこともありました。しかし、がんの治療で体力が落ちた方が断食を行ってしまい、痩せて余計に体力が無くなってしまった方がたくさんいらっしゃいますので、安易に行うべきではありません。

がんの多くは解糖系と呼ばれる糖代謝でエネルギーを得るので、大量にグルコースを消費します。(その性質を利用した検査が放射性同位体グルコースを用いるPET検査です)断食をすることで、糖分を絶つという意味では全く意味が無いものではなかったのかもしれませんが、最近では糖質を制限しながら、ケトン体代謝にするために中鎖脂肪酸などを摂取する食事療法が考案されています。適切な栄養を摂りながら、解糖系に頼らない代謝経路でエネルギーを生産するミトコンドリアを活性化させる方法は、医学的にも根拠があり、患者さんの体力的にも負担が少なく有望な食事療法ではないかと思います。

興味深いことに、がん細胞にはミトコンドリアが少なくなっていて、細胞の自然死であるアポトーシスを誘導するメカニズムにミトコンドリアの機能が関わっていたことが分かってきました。つまりミトコンドリアの働きが悪くなったことががん細胞の増殖を手助けしている可能性があるのです。

適切な栄養を摂って、ミトコンドリアを増やし活性化することは、体力的にも精神的にも元気にもなりますし、副作用もありません。健康になるための食事・栄養補給ですので、生活を共にする家族にとっても一緒に実践しやすいのではないでしょうか?

がんになったとたん、いろいろな健康法を紹介されて辟易するという話を良く聞きます。物珍しい健康法よりも、まずは基本の健康をよくするための当たり前の生活習慣を見直すことから始めるようにしましょう。

月経前症候群(PMS)と漢方

金曜日, 8月 23rd, 2024

毎月生理前になると憂鬱になる方も多いのでは無いでしょうか。

本来、PMSや生理痛が無いのが健康な状態です。

 

漢方医学では、PMSの原因を「気・血・水」のバランスの乱れと考えています。 特に、血液循環の異常は、瘀血(おけつ)と言って、血の巡りが悪いことによって引き起こされたり、血虚(けっきょ)と言って血の不足が絡んでいたり、気の異常は、気滞や気逆と言って、気の滞りによって鬱々とした状態や、気の逆上によってイライラなどが起こったり、水の滞り(水滞)によってむくみが生じたりと、からだのバランスの乱れが関係しています。

 

PMSによく使用される漢方薬と言えば、当帰芍薬散や加味逍遙散です。しかし、日本人は胃腸が弱い方も多く、他の漢方薬の方が良いケースが多くあります。体質や体調も一人一人違いますので、同じPMSの症状でも、漢方薬の配合は一人一人違って来る場合がほとんどです。

漢方では、気血水の乱れた体質を整えていき、PMSが起こりにくい身体にバランスを整えていきますので、その場しのぎの即効性を求める対処療法ではなく、根本的な改善を目指していきます。もし辛い症状がある場合には、中には即効性の漢方薬もありますので、体調などをお伺いしながら、適宜使い分けて行きます。

PMSは仕方ないと諦めている方、その場しのぎでその時だけお薬を服用しているも多くいらっしゃいますが、毎月何十年もお付き合いをしていかなくてはなりませんので、ひどくならないうちに身体のバランスを整えて、気持ちのよい毎日を送っていきませんか。

10月の臨時休業

木曜日, 8月 22nd, 2024

10月の臨時休業

聖蹟桜ヶ丘店・府中店共に

13日(日)、28日(月)は臨時休業となりますので、ご注意ください。

ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。

疲れが取れない

火曜日, 8月 20th, 2024

疲れが取れないのは、漢方医学では主に「気」と「血」の不足に着目してアプローチします。以下に、漢方の観点から疲労回復のための方法とその際に使用する漢方薬をご紹介します。

漢方医学における疲労の捉え方

漢方医学では、疲労を「気」と「血」の不足によるものと考えます。

 

気の不足には、主に高麗人参が配合された漢方薬を使用することが多いのですが、ストレスが多くて気が詰まりやすいタイプの方には使えませんので、体調に合わせて他の補気薬を配合した漢方薬を使用していきます。補気薬の代表的な漢方薬は補中益気湯です。

 

血の不足には、血を補うとされる当帰(とうき)や地黄(じおう)が配合された漢方薬を主に使用していきます。その他、血不足が強い場合には、鹿茸(ろくじょう)といった、鹿の角を使った動物性の漢方薬を使用していく場合もあります。

動物性の漢方薬を使いたくない方には、他の方法などもご提案していきます。

一般的によく使用されているのは当帰芍薬散ですが、当帰芍薬散は、血を補う当帰は少量の配合で、むくみを改善する利水薬が主な配合になりますので不向きです。血を補うのをメインで考えていく場合には、他の漢方薬の方が断然向いています。

 

気血が両方不足している場合には、気も血も両方補える漢方薬を使用していきます。

 

また、生活習慣の改善もとても大切になりますので、無理の無い範囲で行って見て下さい。

漢方薬の服用と併せて、以下のような生活習慣の改善も重要になります

 

運動をすると逆に悪化する場合には、まずは身体を立て直して元気になってきてから、少しずつ行っていくと良いでしょう。

(長峯輝明)

9月の臨時休業

日曜日, 7月 28th, 2024

9月の臨時休業

聖蹟桜ヶ丘店:11日(日)

府中店:11日(日)、29日(日)

ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いいたします。

東洋医学で考える体質の意味

火曜日, 7月 9th, 2024

漢方薬と言えば、「体質改善で身体を治していく」というイメージをお持ちの方が多いと思います。

それは、ある意味では正しくもあり、別の意味ではちょっと違うということがありますので、漢方で考える体質について分かりやすく解説してみたいと思います。

例えば、〇〇湯という漢方薬が体質に合う・合わないという言い方をする方がいらっしゃいます。この場合の体質というのが、「生まれ持ったもともとの体質」のイメージで捉える方が多いのですが、そうではありません。東洋医学では、「体質と症状」を合わせて「証」というのが漢方薬の合う・合わないを示す体質です。この「証」は病気によってはめまぐるしく変化することもあり、漢方薬を使うタイミングがずれると効果が無かったり、合わなかったりすることがあります。

「証」が短期間に変化しやすい代表的な病気としては「風邪」があげられます。初めはゾクゾク寒気がしていたのに、2~3日後には寒気が無くなり発熱と熱感へ、また数日経つと今度は鼻水や咳が出てきて・・・というように数時間~1日単位で症状が変わりますが、これが「証」の変化です。初めにゾクゾク寒気がするのは、風寒邪が肌表を侵襲し、正気と邪気が戦っている状態です。このときの証は「風寒表証」といい、風寒の邪気を外に追い出す働きがある辛温解表剤(桂枝湯・葛根湯など)を用います。ここで風邪を追い出せたら、その先には症状が進まずに治りますが、体内に入ってしまい、邪気が鬱して化熱してしまうこともあります。そうなると「証」が変わり、もう辛温解表薬を使う時期ではありません。例えば「寒鬱化熱証」に使う柴葛解肌湯などに変えなければなりません。

また、漢方の治療の原則は「急性病を先に治す」ということです。風邪をひきやすい体質を改善することと、今ひいてしまった風邪を治すことは治療が異なります。風邪をひきやすい体質には、例えば「補中益気湯」など気を補う漢方薬が使われますが、風邪をひいているときに「補中益気湯」は使いません。変化する「証」に応じて風邪を治療する漢方薬を使います。むしろ、「風熱表証」のときに「補中益気湯」を飲んでいたら、辛凉解表薬の効き目を悪くしてしまいます。

なので、ある漢方薬が効かなかった(または好ましくない作用が出た)からそれは自分の体質に合わない・・・と患者さんが仰る場合、その時の「証」に合ってない方剤を使った可能性もあります。ある患者さんは下痢しやすい体質(脾気虚証)で、皮膚の熱毒をとる「黄連解毒湯」は下痢をしてしまい飲めなかったのですが、下痢をしなくなるように体質改善をしてから服用したら、全く問題なく肌の調子も良くなったということがあります。

そのようなことがあるので、漢方薬を服用して合わなかった場合、なぜ合わなかったのか?を検証する必要があります。上記の様にその時の「証」と使った漢方薬が合っていなかったことが原因のこともありますし、東洋医学の「証」とは関係なく特定の薬草が合わない体質の場合もあります。(例えば麻黄で動悸が出やすい人、特定の種の植物にアレルギーを持っている人など)

相談の時に、どんなときにどんな漢方薬を使って合わなかったのかを教えていただけると、漢方薬を選ぶ際の参考になるので、名前を覚えておきましょう。

平均寿命と健康寿命

日曜日, 6月 9th, 2024

最近、高齢者の年齢を65歳から70歳に引き上げるというニュースが話題になりました。
昔は60歳から高齢者という定義だったと思いますので、その時代から考えると10歳も差があることになります。

たしかに今の60歳の方を高齢者扱いしたら失礼になると思いますし、70歳でやっと昔の60歳くらいの印象に感じます。
厚生労働省HPから平均寿命の推移を確認してみると、1955年では男性63.60歳、女性67.75歳、2019年では男性81.41歳、女性87.45歳となっています。
70年前は平均寿命が60代だったとは驚きですね。(戦争など時代背景もあるかもしれません)

平均寿命は20歳ほど長くなっていますが、もうひとつ考慮しなければならないのが健康寿命です。
2019年の健康寿命はなんと、男性72.68歳、女性が75.38歳で、平均寿命から約10歳の開きがあります。
この健康寿命というのは、病気にかかっているかどうか?ではなくて、何らかの介助・介護を必要とせず、自活できる年齢ということになります。例えば、高血圧やコレステロールの薬を飲んでいるだけの方は、健康な方に分類されます。
逆に言うと、平均的な方が10年近い何らかの介助・介護を必要とする期間があるということです。恐ろしいと思いませんか?!

皆さんが望む「ピンピンコロリ」を実現するためにはどうしたら良いのでしょうか?
それが東洋医学の「養生」という考えが重要になります。

老化を防止するためには「補腎」の考えが重要です。東洋医学では腎は「精」を蔵するところで、精は生命エネルギーの源です。精を使い切ると寿命を迎えます。なので、腎を補って、精を補充することが健康で長生きのポイントです。

腎虚の体質はどんな状態でしょうか?例えば、足腰が弱っている、足が怠い、腰痛、膝痛、疲れやすい、白内障、骨粗鬆症、耳の聞こえが悪い、早く閉経した、歯が弱い、物忘れが多い、白髪が多い、髪が薄い、頻尿、前立腺肥大、尿漏れ、夜間尿が多い、精力低下・・・つまりは老化とともに目立ってくる症状そのものです。若くても老化の症状が早くでてくる人は「腎虚」の体質に注意が必要です。

漢方薬で補腎に使う生薬は?というと、亀板、鹿角、鹿茸、海馬・・・など動物性のものをよく使います。中でも鹿茸は成長過程の鹿の角になりますので、造血作用が強いことが知られています。腎の中で燃やしている生命力「命門の火」の燃料となる生薬とされています。食べ物では、山芋や牡蠣、うなぎ、スッポンなど俗に言う「精力をつける」といわれているものが補腎の働きがあります。
食べ物だけでなく、運動も腎の強化には役立ちます。筋肉は東洋医学的には「肝」の器官に属しますが、肝腎要と言うように肝・腎は密接な関わりがあります。下半身の筋肉を付けることで血行が良くなり、腎臓の機能も良くなるからです。

老後に関しては、多くのみなさんが心配される部分ではありますが、長く健康で過ごせることが一番の安心材料ではないでしょうか?

東洋医学は、健康寿命延長に貢献できることを自信を持ってオススメできますので、是非ご活用くださいね。

耳鳴り

金曜日, 5月 17th, 2024

漢方薬局でご相談が多い症状の一つに、耳鳴りがあります。

突発性難聴などで、急性に生じた耳鳴りに対しては、まずは耳鼻科にかかることが先決です。しかし、慢性化した耳鳴りは多くの場合、耳鼻科でもお手上げになってしまい、耳鳴りに慣らすTRT(音響療法)や、聞こえが悪い場合は補聴器、気を紛らわすために精神薬の服用など、耳鳴りそのものを治療することは難しいようです。

東洋医学でも、耳鳴りは簡単に改善できる症状ではありませんが、鍼灸や漢方で良くなる方も結構いらっしゃいます。

 

耳鳴りの体質・原因(証)の代表的なものをご紹介します。

①風邪(ふうじゃ)が原因の耳鳴り

文字通り、「風邪(かぜ)」をきっかけに生じる場合もありますし、中耳炎など耳の炎症の場合も含まれます。風邪には「風寒邪」と「風熱邪」がありますが、特に「風熱邪」の方が耳鳴りの原因になりやすいようです。風邪は動きが早い邪気なので、発症は急で迅速です。風邪は耳をふさぐと耳鳴りが起こると考えるので、疏風・散邪・通竅といった治療をします。熱証を伴う場合は清熱薬などを併用します。

 

②肝火(かんか)が原因の耳鳴り

肝の臓に熱邪が侵入し、肝火となって耳を侵襲し、耳鳴りを起こしたものです。肝火の原因になるのは、怒り、ストレス、血圧上昇などで、ストレスや過労による突発性難聴も肝火が原因です。音はピーまたは、キーンといった高音で聞こえることが多いです。40代・50代のストレスが多く、忙しい世代に多いタイプの耳鳴りです。清熱・瀉肝・理気などの治療をします。

 

③痰火(たんか)が原因の耳鳴り

痰火とは、体内に停滞した痰湿の邪気に熱邪が加わったものです。痰は湿邪なので、その影響を受けやすい胃腸の症状を伴うことが多く、めまいや吐き気、気持ち悪い、舌苔が多いなどの特徴があり、代表的なものはメニエール病からの耳鳴りです。痰を取り除かなければ耳鳴りが良くならないので、胃腸の痰を除くことも重要です。また、もともと痰湿の病邪を持っていた方が肝火によって痰火へ変化することもありますので、肝火と痰火を合わせて治療が必要な場合があります。

 

④腎虚(じんきょ)が原因の耳鳴り

腎は生命力の源である「精」を蓄えておく臓で、腎虚を簡単に言うと老化現象ともいえます。特別思い当たる原因やきっかけがなく、気づいたら耳鳴りが始まっていて、だんだん気になるようになったので病院に行ってみたというケースが多いです。このタイプの耳鳴りは慢性化しているケースがほとんどですので、中には多少良くなる方もいらっしゃいますが、完治は難しいでしょう。なので、治すのを目標とするより、それ以上悪化させない、耳の老化を防止していくという考えで治療していくのがオススメです。

 

他にも耳鳴りの体質はありますが、よくある体質は以上です。

また、栄養学的な観点から、貧血や鉄不足が原因で耳鳴りを起こす方もいらっしゃるようです。現在は市販されていない方剤になりますが、「耳鳴丸」という漢方薬には、磁石という鉄を補充するための生薬が配合されていました。(六味丸+柴胡・磁石)磁石は胃もたれしやすいので、耳鳴丸を使ったことはほとんどありませんでしたが、サプリメントの鉄でも補充はできますので、思い当たる方は試してみても良いと思います。

耳鳴りの治療期間としては、治りやすいものでも1か月以上、平均すると3か月~半年は服用しないと改善の兆しはわかりにくいようです。一つの目安として、まずは3か月を目標に漢方薬を服用してみてはいかがでしょうか?