2024.9.12
「がんに効く漢方はありますか?」と、ご質問を受けることがよくあります。
例えば、抗腫瘍作用が確認されている薬草などはありますが、あくまでも研究・実験段階ですので、がんに効果があると断言するのは残念ながら難しいでしょう。あくまでもがんをやっつけるのは抗がん剤などの現代医学が第一選択ですので、「がんが消えた!」などの宣伝で、貴重な治療時期を逃さないようにしてほしいと思います。そのような漢方や健康食品は、現代医学の治療を妨げない範囲で補助的にご利用されるのが良いと考えています。
実際に漢方薬が利用される多くの目的は、体調管理や抗がん剤による副作用の軽減です。
よく使われているものとしては、食欲を回復させる「六君子湯」、元気をつける「補中益気湯」、抗がん剤の副作用のしびれに「牛車腎気丸」などがあります。これらはがんを治すものではありませんが、治療の副作用や不快感を軽減することで、役に立つ漢方薬で、病院でも積極的に使われています。
がん治療では、がんそのものをやっつけることに意識が向きがちですが、食欲や体力を保つことはより重要です。食欲や体力があれば侵襲性の強い治療にも耐えられる確率が上がりますし、途中で治療を中断せずにやりきることができます。
また、積極的ながん治療ができなくなってしまったとき、病院から見捨てられたように感じてガックリきてしまう方は多いですが、食欲や体力が維持できれば、元気で過ごせる期間が長くなって、本来の寿命までがんと付き合いながら生きていくことができる方もいらっしゃいます。
「がんでは死なないがん患者」の著者、東口高志医師によると、余命1か月ほどの末期と考えられるがん患者さんに適切な栄養療法を施したところ、それ以上良くならない患者さんは17.6%で、残りの82.4%の方は栄養管理が不適切だったせいで、栄養失調に陥っていたと書かれています。がんの末期に多く見られる「悪液質」は、栄養不良による衰弱です。一昔前までは、栄養を摂るとがんが大きくなると考えられていて、断食療法など極端な栄養制限が流行っていたこともありました。しかし、がんの治療で体力が落ちた方が断食を行ってしまい、痩せて余計に体力が無くなってしまった方がたくさんいらっしゃいますので、安易に行うべきではありません。
がんの多くは解糖系と呼ばれる糖代謝でエネルギーを得るので、大量にグルコースを消費します。(その性質を利用した検査が放射性同位体グルコースを用いるPET検査です)断食をすることで、糖分を絶つという意味では全く意味が無いものではなかったのかもしれませんが、最近では糖質を制限しながら、ケトン体代謝にするために中鎖脂肪酸などを摂取する食事療法が考案されています。適切な栄養を摂りながら、解糖系に頼らない代謝経路でエネルギーを生産するミトコンドリアを活性化させる方法は、医学的にも根拠があり、患者さんの体力的にも負担が少なく有望な食事療法ではないかと思います。
興味深いことに、がん細胞にはミトコンドリアが少なくなっていて、細胞の自然死であるアポトーシスを誘導するメカニズムにミトコンドリアの機能が関わっていたことが分かってきました。つまりミトコンドリアの働きが悪くなったことががん細胞の増殖を手助けしている可能性があるのです。
適切な栄養を摂って、ミトコンドリアを増やし活性化することは、体力的にも精神的にも元気にもなりますし、副作用もありません。健康になるための食事・栄養補給ですので、生活を共にする家族にとっても一緒に実践しやすいのではないでしょうか?
がんになったとたん、いろいろな健康法を紹介されて辟易するという話を良く聞きます。物珍しい健康法よりも、まずは基本の健康をよくするための当たり前の生活習慣を見直すことから始めるようにしましょう。
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
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