2024.5.16
漢方薬局でご相談が多い症状の一つに、耳鳴りがあります。
突発性難聴などで、急性に生じた耳鳴りに対しては、まずは耳鼻科にかかることが先決です。しかし、慢性化した耳鳴りは多くの場合、耳鼻科でもお手上げになってしまい、耳鳴りに慣らすTRT(音響療法)や、聞こえが悪い場合は補聴器、気を紛らわすために精神薬の服用など、耳鳴りそのものを治療することは難しいようです。
東洋医学でも、耳鳴りは簡単に改善できる症状ではありませんが、鍼灸や漢方で良くなる方も結構いらっしゃいます。
耳鳴りの体質・原因(証)の代表的なものをご紹介します。
①風邪(ふうじゃ)が原因の耳鳴り
文字通り、「風邪(かぜ)」をきっかけに生じる場合もありますし、中耳炎など耳の炎症の場合も含まれます。風邪には「風寒邪」と「風熱邪」がありますが、特に「風熱邪」の方が耳鳴りの原因になりやすいようです。風邪は動きが早い邪気なので、発症は急で迅速です。風邪は耳をふさぐと耳鳴りが起こると考えるので、疏風・散邪・通竅といった治療をします。熱証を伴う場合は清熱薬などを併用します。
②肝火(かんか)が原因の耳鳴り
肝の臓に熱邪が侵入し、肝火となって耳を侵襲し、耳鳴りを起こしたものです。肝火の原因になるのは、怒り、ストレス、血圧上昇などで、ストレスや過労による突発性難聴も肝火が原因です。音はピーまたは、キーンといった高音で聞こえることが多いです。40代・50代のストレスが多く、忙しい世代に多いタイプの耳鳴りです。清熱・瀉肝・理気などの治療をします。
③痰火(たんか)が原因の耳鳴り
痰火とは、体内に停滞した痰湿の邪気に熱邪が加わったものです。痰は湿邪なので、その影響を受けやすい胃腸の症状を伴うことが多く、めまいや吐き気、気持ち悪い、舌苔が多いなどの特徴があり、代表的なものはメニエール病からの耳鳴りです。痰を取り除かなければ耳鳴りが良くならないので、胃腸の痰を除くことも重要です。また、もともと痰湿の病邪を持っていた方が肝火によって痰火へ変化することもありますので、肝火と痰火を合わせて治療が必要な場合があります。
④腎虚(じんきょ)が原因の耳鳴り
腎は生命力の源である「精」を蓄えておく臓で、腎虚を簡単に言うと老化現象ともいえます。特別思い当たる原因やきっかけがなく、気づいたら耳鳴りが始まっていて、だんだん気になるようになったので病院に行ってみたというケースが多いです。このタイプの耳鳴りは慢性化しているケースがほとんどですので、中には多少良くなる方もいらっしゃいますが、完治は難しいでしょう。なので、治すのを目標とするより、それ以上悪化させない、耳の老化を防止していくという考えで治療していくのがオススメです。
他にも耳鳴りの体質はありますが、よくある体質は以上です。
また、栄養学的な観点から、貧血や鉄不足が原因で耳鳴りを起こす方もいらっしゃるようです。現在は市販されていない方剤になりますが、「耳鳴丸」という漢方薬には、磁石という鉄を補充するための生薬が配合されていました。(六味丸+柴胡・磁石)磁石は胃もたれしやすいので、耳鳴丸を使ったことはほとんどありませんでしたが、サプリメントの鉄でも補充はできますので、思い当たる方は試してみても良いと思います。
耳鳴りの治療期間としては、治りやすいものでも1か月以上、平均すると3か月~半年は服用しないと改善の兆しはわかりにくいようです。一つの目安として、まずは3か月を目標に漢方薬を服用してみてはいかがでしょうか?
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
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