こだま堂漢方薬局

「多摩市の漢方薬局」「府中市の漢方薬局」漢方専門薬剤師が一人一人の体調・体質に合わせて漢方薬の調合をおこなっております。薬だけに頼らず、可視総合光線療法を取り入れ自己治癒力を高めることをモットーにしています。健康相談や健康食品・ハーブのお取り寄せもおこなっておりますのでお気軽にお立ち寄り下さい。

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花粉症の症状にオススメの漢方薬・養生

火曜日, 2月 20th, 2024 今年は2週間も早く春一番の風が吹いたそうですが、それと一緒に花粉も飛んできたようですね! 最近は、眠くならないアレルギーの新薬や減感作療法など治療方法が増えてきたこともあり、昔よりも花粉症の漢方相談は減ったように思いますが、化学的な医薬品が体質に合わない方や漢方薬の方が調子良く過ごせる方、体質を改善したい方などがご相談にいらっしゃっています。 花粉症の症状に使われる漢方薬として、よく知られているものは「小青竜湯」です。小青竜湯は、鼻水の風邪や薄い痰が多い咳に使われる漢方薬で、ポタポタ水のように垂れるような鼻水を目標に使います。花粉症は風邪ではありませんが、似たような鼻水の症状なので、応用として小青竜湯がよく使われるようになりました。 小青竜湯の配合生薬は、麻黄3・芍薬3・乾姜3・甘草3・桂皮3・細辛3・五味子3・半夏6となっていて、主に温める薬草の配合です。水のような鼻水は、冷えた水が溜まっている水毒体質と考えますので、温める生薬が効果的なのです。しかし、冷えた水が溜まった体質とノドが乾くなどの熱の症状を併せ持つ場合もあり、それには清熱作用のある生薬の石膏を加えた「小青竜湯加石膏」の方が良いかもしれません。また、小青竜湯に入っている「麻黄」が強く効いてしまい、眠れない、動悸がするという体質の方には、「苓甘姜味辛夏仁湯」という小青竜湯から麻黄を抜いた漢方薬もあります。また、症状が酷い方は、煎じ薬の方がオススメです。 水のような鼻水では無くて、熱感のある鼻づまりや、粘性のある鼻水、目のかゆみ、皮膚の痒みの症状の花粉症には小青竜湯は効きません。というのも、これらは熱の症状が強いので、温める小青竜湯ではかえって悪化する可能性があるからです。熱を取って鼻炎を改善する漢方薬としては、「辛夷清肺湯」があげられます。辛夷清肺湯は、慢性鼻炎、蓄膿症などに用いられる漢方薬で、配合生薬は、知母3・黄ゴン3・山梔子1.5・麦門冬6・石膏6・升麻3・辛夷3・百合3・枇杷葉1です。知母・黄ゴン・山梔子・石膏は清熱薬で、鼻水の粘性を下げる麦門冬・百合、通鼻作用の辛夷が入っています。辛夷は早春に咲くコブシの花のつぼみで、香りを嗅ぐだけでも確かに鼻通りが良くなりそうな良い香りがします。 鼻通りが良くなる薬草といえば、多くの方がイメージする薄荷も花粉症の養生にオススメです。マスクにミントのスプレーをしている方もいらっしゃいますね。薄荷は漢方薬としてもよく使われますが、薄荷と菊の花をブレンドしたお茶は、目の充血を緩和する養生法としてよく知られています。漢方で使う菊の花には2種類あって「杭菊花」と「野菊花」があります。清熱作用が強いのは野菊花の方ですが、苦みが強く、杭菊花の方が香りが良く美味しいお茶になります。薬効をとるか、おいしさをとるか、悩みどころかもしれません・・・。 また、抗アレルギー作用がある身近な薬草として注目されているのは紫蘇です。刺身のツマに添えられているのは、魚毒による蕁麻疹の予防として、昔の知恵なのです。広島大学の研究で、アトピー性皮膚炎のモデルマウスに5%の赤ジソをエサに混ぜて食べさせるという実験が紹介されていました。その実験では、赤ジソを食べさせたマウスは、食べていないマウスと比べて、皮膚の乾燥や耳の腫れなどがほとんどなく、赤ジソの抗アレルギー作用が実証されたとのことです。漢方薬で使われる紫蘇も赤ジソの仲間で、紫のちりめん紫蘇を乾燥したものです。人間の食事量の換算で5%の紫蘇を食べるのはなかなか難しそうですが、「紫蘇茶」にすれば続けやすいと思います。こだま堂にも「紫蘇茶」を養生のお茶として気に入って飲んでいる方がいらっしゃいます。 漢方薬の薬草の中には、食品として長年親しまれてきたものも少なくありません。化学的な薬と比べると即効性には欠けるかもしれませんが、養生として使うことでアレルギー症状の緩和にも有用かと思います。上記に紹介した以外にも色々な種類の漢方薬が花粉症の症状への応用として使うことができますので、ぜひお気軽に相談に来てみて下さいね。

血が足りないと精神を病む?

金曜日, 2月 16th, 2024

東洋医学で、血に関して特につながりが深い臓器は「肝」と「心」です。肝は血を蔵する役割があり、心は血を循環させる働きがあります。血虚証というと、全体的な血が足りない様子を指しますが、より細かく分析すると「肝血虚証」や「心血虚証」という体質があります。

血が足りない症状として、顔色が悪い、目の下にクマがある、頭のふらつき、かすみ目、爪が弱い、舌が白っぽい・・・などがあります。皮膚は最も外側の組織で、血の栄養が届きにくいですから、血色が悪く見えます。女性は毎月の生理がありますので、多くの方が多少なりとも血虚証に入るかもしれません。

肝血虚証と心血虚証の違いは、それそれが関係し合っていますので、明確に線引きして分けられるわけではありませんが、症状にいくつか特徴があります。

肝血虚証は、肝に通じる器官である目や爪の異常、筋肉の症状・・・例えば足がつりやすい、ぴくぴくする、こわばるといった症状の他、肝の血が足りないと気が高ぶりやすくなるので、イライラしたり、短気になるなどの精神症状が現れます。まぶた周辺のぴくぴくする症状は、ストレスを感じると増えやすいと思いませんか?

肝は気を調節する臓器でもありますので、ストレスなどの邪気を受けやすく、ストレス症状の初期に当たることが多いように思います。

心血虚証は、心臓そのものの症状である動悸や、眠りが浅い、寝付きが悪い、頭がぼーっとする、健忘、精神症状として焦燥感、不安感、悲哀感など胸にぽっかり穴があいたような感じが現れます。

ストレス症状が続いて、より精神が消耗してくると心血虚証の症状が現れやすくなります。イライラしているうちは、まだ気が残っていますが、それすらも足りなくなると無気力になって、学校や仕事に行けない、部屋から出たくない、何もしたくない・・・となってしまうでしょう。

血を蔵するのは肝の役割なので、肝の血が足りなければ他の臓腑にも及びます。初めは肝血不足がベースにあって、それが心に波及して心血虚証になるとも考えられます。

血は体中に栄養を与えるために脈の中を流れます。流す力は心の気で、気血は一緒に巡っています。血には精神活動を支える働きもありますが、これは分子栄養学の「脳の栄養不足でうつ病になる」という考えにも通じると思います。

精神的な病気になったとき、薬だけで治療しようとすると上手くいかない場合があります。抗うつ薬の作用は、主にセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の再取り込み阻害作用で、見かけ上それらをシナプス間隙に増やすだけなので、自力で生合成して分泌量を調節できるようにならないと本当の意味では完治と言えないでしょう。

そのためには、栄養を摂取して、血を増やさなければなりません。血を増やす生薬には、当帰やなつめ、竜眼肉などいくつかありますが、どれも薬膳など食養生でも利用できる栄養豊富な薬草でもあります。天然のミネラルが豊富な生薬の竜骨や牡蠣は、安神薬に属し、精神安定作用があるとされています。漢方薬には、生薬の薬用成分と共に栄養素も含まれているのが、化学薬品にはないメリットだと思います。

 

 

 

 

あなたの疲れはどんな疲れ?(子ども・若者編)

金曜日, 2月 9th, 2024 若いのに「疲れた~」が口癖の子はいませんか? 実は私(長峯友恵)もそういう子どもでした・・・。40代の今よりも「疲れた~」ばかり言っていたかもしれません。 子どもの疲れの原因もいくつかありますが、大人と決定的に違うのは「成長期である」ことです。 大人は成長が終わっているので、生きていくための気血津液と、余裕がある分を腎に精として補充し、元気を維持していますが、子どもはそれにプラスして「成長で使われる気血津液・精」が必要です。 子どもの場合、授乳期から幼少期にかけては「先天の精」の存在が大きいです。まだ生きている日数が少ないですから、後天の精を充足する時間はほとんどないわけです。先天の精を補える期間は、最短で妊娠する半年前からで、妊娠してからではありません。お母さんとお父さんの生命エネルギーによって赤ちゃんが作られますが、卵子は半年かけて成熟するのです。遺伝情報が正常に伝わるには、ミス無くDNAをコピーするための酵素、遺伝子を傷つけない抗酸化物質、エネルギーを生産するミトコンドリアの数などが関わります。現実的なことを言うと、その時期の栄養状態や生活習慣によって、ある程度の卵子や精子の質が決まってしまいます。例えば、葉酸は妊娠の3~6ヶ月前から摂取することで、一部の先天性の奇形を予防できることはよく知られています。(精子は卵子よりも短いサイクルで成熟するので、3ヶ月程度と考えても良いかもしれません。また、先天の精は先祖代々受け継いでいるものですから、親世代だけの問題でもありません) 小さい頃に、疲れやすい、虚弱体質、夜尿症、喘息、成長の遅れ、歯の抜け替わりが遅い・・・などがある場合、「先天の精」が不足していると考えて、高齢世代と同じく「補腎」の治療を合わせます。食事からの栄養摂取も好き嫌いが多い年齢なので、栄養の補充も合わせて「補腎」の治療をします。 また、大人と同じように夜更かしをしている子どもさんが増えています。子どもは小さな大人ではありません。幼少期は10時間以上の睡眠時間が必要です。寝る子は育つと言いますが、成長ホルモンは寝しなの90分間に最大量分泌されることが分かっていて、あながち迷信ではないです。 小学校高学年から高校生くらいにかけてのティーンエイジャーは、体調不良の相談が増えます。この年代はその前の成長期よりも、急激に身長が伸びたり、性成熟しますので、大人の最低2倍は栄養が必要です。たまに「うちの子は太っているから栄養は足りている」という親御さんもいらっしゃるのですが、肥満は栄養が足りている根拠にはなりません。不足しやすい栄養はビタミン・ミネラルで、太る要素にはなりません。あくまでも炭水化物に偏った食事をして肥満になっているのであって、新陳代謝も悪くなっている可能性があります。 多い訴えは、疲れやすい、寝起きが悪い、特に朝は調子が悪い、イライラしやすい、集中力が無いなどです。それが原因で学校に行けなかったり、勉強が遅れてしまう子、受験のタイミングを逃してしまう子もいます。 難しいのは、親の言うことを聞かなくなっている年代なので、飲みにくく、効果が出るのに時間がかかる漢方薬は飲んでくれないことも多いです。 ですが、ほぼ間違いなく栄養不足がベースにありますので、無理して漢方薬は使わずに、食事指導と不足しやすい栄養の補給だけでも、体調が良くなってくると思います。 成長期が過ぎると、成長に使われていた分の栄養を腎精の補充に充てることができるようになるので、自然に症状は収まってくることがほとんどです。ですが、その期間にロスした分はその後の体質に影響があるかもしれません。例えば10代に運動をしていた子とそうでない人は、その後の運動能力や骨密度などに影響があるそうです。具合が悪くて、休んでばかりいたことが、後に影響するのは、私自身も何となく感じます。 現代は大人が忙しすぎて、子どもに構ってあげられないことが増えているような気もします。 子どもが健康でいられるために、大人がもっと余裕のある社会になったらいいですね。

あなたの疲れはどんな疲れ?(高齢世代編)

金曜日, 2月 2nd, 2024 年だから仕方ない・・・なんでも年のせいにしてはいませんか? とはいえ、医療者側も患者さんに「年のせいですね」と言うことは多々ありますので、反省しなくてはいけませんね。 年のせいでどうにもならない事はありますが、生きている限り「再生力」があります。再生力があるからこそ、今生きていられるのです。 高齢世代の疲れは、過去に紹介した「気虚」の体質だけではなく、「腎虚(じんきょ)」の存在を考えなければなりません。 「腎虚」とは、生命エネルギーの源である「精」が消耗して、各臓腑に生命エネルギーを供給できなくなっている症状です。老化現象全般が「腎虚」の症状であることが多いです。 「腎虚」の症状としては、泌尿器の慢性症状(頻尿など)、白髪・脱毛、歯のぐらつき・脱落、足腰の怠さ、腰痛・膝痛、記憶力の低下、動作が緩慢になる、耳鳴り、筋肉の軟弱化、動脈硬化、性機能の減退、白内障・・・などなど、どの症状もいずれはたどる道かもしれませんが、出来れば後の方まで回避したいですよね。 生命エネルギーの源の「精」とは、「鰻を食べて精をつける」という言葉に象徴されるように、元気の素のようなもので、専門的に説明すると親からもらった「先天の精」と自分で増やしていく「後天の精」から出来ています。先天の精は、現代医学的に言うとDNAになりますので、生まれ持った体質・能力ですから、増やしたり改善することはできません。後天の精は、生命活動の中で腎に貯蓄していく生命力になりますので、生活習慣が大きく関わってきます。(精は腎に貯蔵されるので、「腎精」と呼ばれることもあります) この「精」を使い切ったときに命の終わりを迎えます。 ですので、命の終わりに近づいている高齢世代には、腎の精をできるだけ保つのが元気のポイントになります。 老化に負けたくない!元気になりたい!という高齢世代の方に覚悟してもらいたいのは、「すぐに効果が出ません!」ということです。 若いときよりも自然治癒力は落ちているし、胃腸が弱って消化吸収も低下しています。何かしら不調もあって精の消耗が多くなりますので、それに抗って「精」を増やしていくのですから、長期戦での努力が必要です。 実際、若い世代なら数日~数週間、長くともせいぜい数ヶ月で元気になるようなことも、数年がかりになることは少なくありません。 ですが、1年、2年はあっという間です。もし3年前から努力していたら、今は全く違う元気さがあったとしたら、そんなに長くないような気がしませんか? 「腎虚」を改善させるには、「補気」や「補血」の治療薬では力不足です。もちろん補気・補血も重要ですが、同時に「補腎」という治療をしていきます。腎には、腎陽と腎陰があり、腎陽が不足すると冷えが生じ、腎陰が不足すると不快感を伴う熱症状が生じます。その体質を見極めながら、「補腎」の漢方薬を常用して、「腎精」を補充していきます。 また、腎を強くするには足腰を鍛える運動が必須です。漢方薬にも「強筋骨」という働きのある生薬は、補腎の治療に欠かせません。足の筋肉が衰えると、重力で下がった血液を上に押し戻すことが出来ずに停滞します。血流が悪くなることは腎の機能を低下させるからです。疲れるからと言って、安静にしてばかりいると、高齢世代は弱っていくのが早いです。多少無理をしてでも動かなくてはなりません。運動器に異常があって自己流の運動が心配な方は、専門家の指示の元、トレーニング方法をアドバイスしてもらってください。80代からスポーツジムに通って、90代で前よりも元気!という方もいらっしゃいますよ。 高齢世代の方の有利な点は、若い世代よりも食事に気をつけている方が多いことです。魚や野菜は若い世代よりも食べている方が多いですし、スナック菓子やケーキなど高カロリーなものは逆に食べなくなっていると思います。少食になってきているので、1品1品に良い食べ物を摂るように気をつける必要がありますが、その分悪いものを食べる機会も減っているかもしれません。 年だから・・・と諦めず、補腎と運動で元気な長生きを目指しましょう!