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【2024】花粉症と漢方治療:自然療法で春を迎える
2024.5.24
春の訪れと共に、多くの人々が花粉症の症状に悩まされる時期がやってきました。2024年は、例年に比べて2週間も早く春一番が吹き、それに伴い花粉の飛散も早まっています。
最近は、眠くならないアレルギーの新薬や減感作療法など治療方法が増えてきたこともあり、昔よりも花粉症の漢方相談は減ったように思いますが、化学的な医薬品が体質に合わない方や漢方薬の方が調子良く過ごせる方、体質を改善したい方などがご相談にいらっしゃっています。
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『漢方治療とは』
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漢方治療は、個々の体質や症状に合わせて、自然界から得られる薬草を組み合わせて治療する方法です。
花粉症に対しても、漢方薬はその症状の緩和や根本的な体質改善に有効とされています。
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花粉症の症状に効く漢方薬
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花粉症の症状に使われる漢方薬として、よく知られているものは「小青竜湯」です。
これは、鼻水や薄い痰が多い咳に効果があるとされ、特にポタポタ水のように垂れるような鼻水に対して使用されます。
小青竜湯の成分は、体を温める効果のある薬草で構成されており、体内の冷えによって溜まった「水毒」を解消することを目的としています。
小青竜湯の
配合生薬は、
麻黄3・芍薬3・乾姜3・甘草3・桂皮3・細辛3・五味子3・半夏6となっていて、主に温める薬草の配合です。
水のような鼻水は、冷えた水が溜まっている水毒体質と考えますので、温める生薬が効果的なのです。
しかし、冷えた水が溜まった体質とノドが乾くなどの熱の症状を併せ持つ場合もあり、それには清熱作用のある生薬の石膏を加えた「小青竜湯加石膏」の方が良いかもしれません。
そして、小青竜湯に入っている「麻黄」が強く効いてしまい、眠れない、動悸がするという体質の方には、「苓甘姜味辛夏仁湯」という小青竜湯から麻黄を抜いた漢方薬もあります。
また、症状が酷い方は、煎じ薬の方がオススメです。
熱感のある鼻づまりや粘性のある鼻水、目のかゆみ、皮膚の痒みなどの症状には、「辛夷清肺湯」が有効です。
これは熱を取り除き、鼻炎を改善する効果があります。
清熱薬としての成分が配合され、鼻通りを良くする効果が期待されます。
水のような鼻水では無くて、熱感のある鼻づまりや、粘性のある鼻水、目のかゆみ、皮膚の痒みの症状の花粉症には小青竜湯は効きません。
というのも、これらは熱の症状が強いので、温める小青竜湯ではかえって悪化する可能性があるからです。
熱を取って鼻炎を改善する漢方薬としては、「辛夷清肺湯」があげられます。
辛夷清肺湯は、慢性鼻炎、蓄膿症などに用いられる漢方薬で、
配合生薬は、
知母3・黄ゴン3・山梔子1.5・麦門冬6・石膏6・升麻3・辛夷3・百合3・枇杷葉1です。
知母・黄ゴン・山梔子・石膏は清熱薬で、鼻水の粘性を下げる麦門冬・百合、通鼻作用の辛夷が入っています。辛夷は早春に咲くコブシの花のつぼみで、香りを嗅ぐだけでも確かに鼻通りが良くなりそうな良い香りがします。
鼻通りが良くなる薬草といえば、多くの方がイメージする薄荷も花粉症の養生にオススメです。マスクにミントのスプレーをしている方もいらっしゃいますね。薄荷は漢方薬としてもよく使われますが、薄荷と菊の花をブレンドしたお茶は、目の充血を緩和する養生法としてよく知られています。
漢方で使う菊の花には2種類あって「杭菊花」と「野菊花」があります。清熱作用が強いのは野菊花の方ですが、苦みが強く、杭菊花の方が香りが良く美味しいお茶になります。
薬効をとるか、おいしさをとるか、悩みどころかもしれません・・・。
また、抗アレルギー作用がある身近な薬草として注目されているのは紫蘇です。
刺身のツマに添えられているのは、魚毒による蕁麻疹の予防として、昔の知恵なのです。
広島大学の研究で、アトピー性皮膚炎のモデルマウスに5%の赤ジソをエサに混ぜて食べさせるという実験が紹介されていました。
その実験では、赤ジソを食べさせたマウスは、食べていないマウスと比べて、皮膚の乾燥や耳の腫れなどがほとんどなく、赤ジソの抗アレルギー作用が実証されたとのことです。
漢方薬で使われる紫蘇も赤ジソの仲間で、紫のちりめん紫蘇を乾燥したものです。
人間の食事量の換算で5%の紫蘇を食べるのはなかなか難しそうですが、「紫蘇茶」にすれば続けやすいと思います。こだま堂にも「紫蘇茶」を養生のお茶として気に入って飲んでいる方がいらっしゃいます。
漢方薬の薬草の中には、食品として長年親しまれてきたものも少なくありません。化学的な薬と比べると即効性には欠けるかもしれませんが、養生として使うことでアレルギー症状の緩和にも有用かと思います。
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自然療法としての漢方
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漢方治療は即効性を求めるものではありませんが、長期的に見て体質改善や予防に寄与することが多くの専門家によって指摘されています。
また、漢方薬を活用した生活習慣、例えば紫蘇茶の摂取や薄荷、菊の花をブレンドしたお茶の摂取は、花粉症の症状緩和だけでなく、日々の健康維持にも役立ちます。
花粉症で苦しむ方々は、化学薬品だけに頼るのではなく、漢方治療のような自然療法も検討することで、より健康的な春の季節を過ごすことができるかもしれません。
上記に紹介した以外にも色々な種類の漢方薬が花粉症の症状への応用として使うことができますので、ぜひお気軽に相談に来てみて下さいね。
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長峯 友恵 NAGAMINE TOMOE
多くの方にご自身の自然治癒力で良くなるお手伝いができるように、漢方や養生でサポートしていきたいと思います。
薬剤師・国際中医専門員 統合医療生殖学会子宝カウンセラー / 薬膳アドバイザー / 皮膚細胞活性促進研究会認定カウンセラー / 可視総合光線療法研修終了 / 東京・山梨伝統生薬研究会所属 / 多摩中医薬研究会所属 / 統合医療生殖学会所属
この記事のライター
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nagare
ご相談までの流れ
どうぞお気軽にご相談ください!
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
※病院のお薬をご利用中の方はお薬手帳をお持ちください。
ステップ1
カウンセリング
お困りの症状を始め、お体の体調・体質など丁寧にお伺いします。
(初めてのご相談は30分~1時間程度)
ステップ2
漢方薬の調合
お伺いした体調・体質に合わせて薬草から調合します。
当薬局の煎じ薬はすべて手作りです。
(煎じ薬が苦手な方のために、粉薬や錠剤もございます。)
ステップ3
服用方法や養生法の説明
漢方薬の煎じ方、服用方法から普段の養生など、一人一人に合わせて説明いたします。
ステップ4
サポート
お薬を飲み始めて、気になることがあれば電話やメールなどお気軽にご連絡ください。
飲み始めやご体調が不安定な方などは、こちらからも体調確認のお電話をさせていただくこともございます。
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