2024.5.8
年だから仕方ない・・・なんでも年のせいにしてはいませんか?
とはいえ、医療者側も患者さんに「年のせいですね」と言うことは多々ありますので、反省しなくてはいけませんね。
年のせいでどうにもならない事はありますが、生きている限り「再生力」があります。再生力があるからこそ、今生きていられるのです。
高齢世代の疲れは、過去に紹介した「気虚」の体質だけではなく、「腎虚(じんきょ)」の存在を考えなければなりません。
「腎虚」とは、生命エネルギーの源である「精」が消耗して、各臓腑に生命エネルギーを供給できなくなっている症状です。老化現象全般が「腎虚」の症状であることが多いです。
「腎虚」の症状としては、泌尿器の慢性症状(頻尿など)、白髪・脱毛、歯のぐらつき・脱落、足腰の怠さ、腰痛・膝痛、記憶力の低下、動作が緩慢になる、耳鳴り、筋肉の軟弱化、動脈硬化、性機能の減退、白内障・・・などなど、どの症状もいずれはたどる道かもしれませんが、出来れば後の方まで回避したいですよね。
生命エネルギーの源の「精」とは、「鰻を食べて精をつける」という言葉に象徴されるように、元気の素のようなもので、専門的に説明すると親からもらった「先天の精」と自分で増やしていく「後天の精」から出来ています。先天の精は、現代医学的に言うとDNAになりますので、生まれ持った体質・能力ですから、増やしたり改善することはできません。後天の精は、生命活動の中で腎に貯蓄していく生命力になりますので、生活習慣が大きく関わってきます。(精は腎に貯蔵されるので、「腎精」と呼ばれることもあります)
この「精」を使い切ったときに命の終わりを迎えます。
ですので、命の終わりに近づいている高齢世代には、腎の精をできるだけ保つのが元気のポイントになります。
老化に負けたくない!元気になりたい!という高齢世代の方に覚悟してもらいたいのは、「すぐに効果が出ません!」ということです。
若いときよりも自然治癒力は落ちているし、胃腸が弱って消化吸収も低下しています。何かしら不調もあって精の消耗が多くなりますので、それに抗って「精」を増やしていくのですから、長期戦での努力が必要です。
実際、若い世代なら数日~数週間、長くともせいぜい数ヶ月で元気になるようなことも、数年がかりになることは少なくありません。
ですが、1年、2年はあっという間です。もし3年前から努力していたら、今は全く違う元気さがあったとしたら、そんなに長くないような気がしませんか?
「腎虚」を改善させるには、「補気」や「補血」の治療薬では力不足です。もちろん補気・補血も重要ですが、同時に「補腎」という治療をしていきます。腎には、腎陽と腎陰があり、腎陽が不足すると冷えが生じ、腎陰が不足すると不快感を伴う熱症状が生じます。その体質を見極めながら、「補腎」の漢方薬を常用して、「腎精」を補充していきます。
また、腎を強くするには足腰を鍛える運動が必須です。漢方薬にも「強筋骨」という働きのある生薬は、補腎の治療に欠かせません。足の筋肉が衰えると、重力で下がった血液を上に押し戻すことが出来ずに停滞します。血流が悪くなることは腎の機能を低下させるからです。疲れるからと言って、安静にしてばかりいると、高齢世代は弱っていくのが早いです。多少無理をしてでも動かなくてはなりません。運動器に異常があって自己流の運動が心配な方は、専門家の指示の元、トレーニング方法をアドバイスしてもらってください。80代からスポーツジムに通って、90代で前よりも元気!という方もいらっしゃいますよ。
高齢世代の方の有利な点は、若い世代よりも食事に気をつけている方が多いことです。魚や野菜は若い世代よりも食べている方が多いですし、スナック菓子やケーキなど高カロリーなものは逆に食べなくなっていると思います。少食になってきているので、1品1品に良い食べ物を摂るように気をつける必要がありますが、その分悪いものを食べる機会も減っているかもしれません。
年だから・・・と諦めず、補腎と運動で元気な長生きを目指しましょう!
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
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