2024.5.8
漢方薬局も様々なスタイルがありますが、皆さん、自分に合った漢方薬局と出会いたいと望むでしょう。
実際、漢方薬局と言っても、様々な考え方の先生がいらっしゃいまして、古方と中医学では考え方が全く異なったり、得意分野、経験や取り扱い商品なども様々です。
こだま堂では、私たち夫婦二人、登録販売者のスタッフさん含め、中医学の考え方で体質分析を行い、一人一人に合った漢方薬・健康食品をご紹介し、養生法などをアドバイスしています。
中医学の弁証に従ってカウンセリングをしていくと、初回の相談は1時間以上かかることもありますし、何度もご体調の変化などを伺って、合う漢方薬にすりあわせていく必要がある方もいらっしゃいます。(そのために相談は予約制にしております)
ですので、手短に相談して、手軽に飲める漢方薬がすぐ欲しいという方には、こだま堂はあまり合わないスタイルかもしれません。
しかし、漢方薬を選ぶ上で非常に難しいのは、添付文書に載っている効能・効果をそのまま鵜呑みにして服用すると、全く見当違いな治療をする羽目になることがあるのです。
例えば、元気になりたい方に使う漢方薬としてよく知られている「補中益気湯」と「十全大補湯」で比べてみましょう。
どちらも効能・効果は似たようなことが書かれています。(メーカーによっても多少記述が異なりますので、薬局製剤で比較しています)
補中益気湯の効能・効果・・・体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒
十全大補湯の効能・効果・・・体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
順番が違うだけで、内容はほとんど一緒に思えませんか?
生薬の配合から考えると、違いが見えてきます。
補中益気湯:人参4・白朮4・黄耆4・当帰3・陳皮2・大棗2・柴胡1・甘草1.5・生姜0.5・升麻0.5
十全大補湯:人参3・黄耆3・白朮3・茯苓3・当帰3・芍薬3・地黄3・川芎3・桂皮3・甘草1.5
共通している生薬は人参・白朮・黄耆・当帰・甘草ですので、半分は同じです。人参・黄耆は気を補い、白朮は脾を補います。当帰は補血薬で、甘草は補う働きと共に配合されている生薬を調和する役割があります。
補中益気湯の特徴は、脾胃を助ける大棗・陳皮と、気を持ち上げる組み合わせの柴胡・升麻です。気を持ち上げるとはどういうことかというと、気が不足していると内臓を正しい位置に保つことができず、下垂しやすくなり、食欲が低下します。脾は後天の本とも言われ、元気を作る源です。補中益気湯は、気血を補うと同時に、気を持ち上げて内臓を正しい位置に戻し、食欲を回復させて元気にする漢方薬ということになります。気を補うことを主体に置いているので、十全大補湯よりも補気薬(人参・白朮・黄耆)の量も多くしてあります。
十全大補湯の特徴は、当帰以外の芍薬・地黄・川芎といった血に関する生薬が配合されていることです。当帰も含めたこの4種類は四物湯という方剤で、これは血を増やし、血流を良くする組み合わせです。地黄は血を潤す働きがありますが、胃腸には若干重たい生薬です。ですので、胃腸の消化吸収機能はあまり衰えておらず、気血を増やすことで元気を取り戻させる、より血に比重を置いた方剤になります。
例に挙げた、この2種類に関しては、胃腸の具合と痰湿体質などに気をつけて使えば、どちらを使っても大きな間違いにはならないと思います。
しかし、細かい体質まで考えると、上記の生薬の違いから、合う合わないが生じる可能性はあります。
漢方薬局・薬店の中には、生薬の効能まではよく知らずに、添付文書の効能・効果だけで漢方薬を選んだり、「婦人科の症状なら当帰芍薬散」など、病名で一律に決まった漢方薬を処方する、利益の高い推売品ばかり紹介するようなところもあります。もちろん薬局・薬店も事業ですから、推売品があってそれを勧めたいのは分かりますが、あちこちの漢方薬局を巡ってこだま堂にいらした方の中には、全く合っていない漢方薬(効能・効果としては合っているかもしれませんが)を勧められて、かえって具合が悪くなっている方もいらっしゃるのは、少々憤りを感じます。
原料の生薬を扱っている漢方薬局であれば、ほぼ間違いなく各生薬の効能から判断して、漢方薬を選ぶことができるので、漢方薬局・薬店を選ぶ目安の一つになると思います。
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
※病院のお薬をご利用中の方はお薬手帳をお持ちください。
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