2024.4.4
漢方薬を服用するときに一番気になるのは、味と匂いではないでしょうか?
私ももともとは漢方薬の匂いが苦手・・・というより、化粧品やハーブ、セロリなど匂いが強いもの全般が苦手でした。ですが、今は全く気になりませんので、慣れはあるのかな?と思います。(セロリも食べられるようになりました!)
こだま堂に初めて来て「漢方のいい匂いがする」というお客様もいれば、子どもさんだと「臭いから外で待ってる!」と、感じ方はいろいろですね。
さて、その匂いや味ですが、剤型によってかなり差があります。
病院で使われる漢方薬や市販の漢方薬は「エキス顆粒」というタイプで、現在の主流です。製法は生薬を煎じて得られた水溶液(湯液)を、凍結乾燥や噴霧乾燥などの製法で乾燥させ、顆粒状にします。1回服用分毎に持ち歩けますし、比較的飲みやすい剤型です。難点としては、加工する過程で湯液に含まれる浮遊物質は濾過され、噴霧乾燥すると揮発性の有効成分が失われやすいことから、もともとの湯液の状態より薬効が低下してしまうことです。漢方薬局で扱っているエキス顆粒の中には、中成薬など生薬では手に入らない原料を使っているものもあるので、保険の漢方薬や煎じ薬にはない種類の漢方薬もあります。
エキス顆粒を固めたものが「錠剤」です。化学薬品と違い、漢方薬の場合は容量が多くなってしまうので3~8錠など錠数が多くなってしまうのは難点です。煎じ薬もエキス顆粒も飲めない方には錠剤を使うことになりますが、1回に1錠ずつしか飲み込めない方にはちょっと辛いかもしれません。また、種類が限られるのも難点です。
錠剤と似ていて少し異なるものは「丸薬」です。エキス顆粒を丸薬にしたものもありますが、古来の丸薬は生薬の粉末をハチミツや生薬の絞り汁などを使って丸めたものになります。丸薬は錠剤と異なり、プレスして製造するものではないので、1粒1粒の大きさにばらつきが出やすく、湿度や生薬に含有される水分や油分で出来上がりにムラができやすいため、近年製造が難しくなっている剤型です。
生薬の粉末で作られた漢方薬は「散剤」と言います。エキス顆粒と異なり、水抽出ではなく、生薬そのものの粉末です。メーカーによっては、造粒して飲みやすく加工しているものもありますが、ほとんどは細かい微粉末で、1回服用量が1.5~3gと大量になるので、かなり飲みにくい形状です。しかし、散剤のメリットは、水に溶けにくい成分や揮発性の成分が失われずに残っているので、そのような薬用成分が多く含まれます。揮発性の香り成分は東洋医学で言う「気」の流れを良くする働きに優れているので、「気の流れを良くしたい」体質の治療によく用いられます。メーカーによっては、エキスと散を合わせて、飲みやすく効き目をよくした漢方薬を作っているところもあります。
漢方らしい漢方薬といえば、「煎じ薬」でしょう。エキス顆粒の素となる湯液のことです。薬草を煎じて煮出したものを1日3回に分けて服用します。葛根湯のように「○○湯」と書かれていれば、煎じ薬、当帰芍薬散のように「○○散」なら散剤で使われてきた漢方薬です。「当帰芍薬散料」と書いてあれば、当帰芍薬散と同じ薬草を使って煎じ薬にしたものですが、薬草の配合量・配合比などは異なるので、厳密には別物と考えるべきです。慣れてしまえば、煎じるのは難しくありませんが、家中匂うのが家族に不評で、煎じパックをご希望される方が多いです。煎じ薬のメリットは、濃く煮出せば生薬の量が多くても1回100CC前後のお茶として飲めるので、味はともかく服用量を増やさずに飲むことができます。動物性の生薬は、煎じると臭みが出るので、阿膠以外は煎じ薬に入れることはあまりありません。例えば、鹿茸や牛黄などは丸薬で用います。
その他、チンキ剤と言って生薬をアルコールに浸けて薬用酒にしたものや、シロップなど砂糖を加えて甘く飲みやすくしたもの、薬草の粉末や絞り汁、ハチミツなどを加えてペースト状にした膏剤などがあります。甘くて美味しい漢方薬は、主に補剤と言って、日々気血を補って健康維持に使われます。
飲み薬の他に、外用剤もあって、紫雲膏や中黄膏などの軟膏、水虫薬のドキンピチンキがあります。変わったところで、薬局製造業で許可されている方剤として、目を洗う蒸眼一方という処方もありますが、作ることはまずないと思います。
可能であれば、漢方薬の剤型によって一番効果を発揮できるタイプを服用していただけるとより効果的ですが、どうしても飲みにくいものもあると思います。
特にシナモンやセロリが苦手な方には飲みにくい漢方薬があるので、その旨をお伝えいただくのも良いかもしれません。
漢方薬局では幅広い製剤を扱っているので、そのような味の好き嫌いなども含めて相談してみてください。
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
※病院のお薬をご利用中の方はお薬手帳をお持ちください。
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