2024.7.8
漢方薬と言えば、「体質改善で身体を治していく」というイメージをお持ちの方が多いと思います。
それは、ある意味では正しくもあり、別の意味ではちょっと違うということがありますので、漢方で考える体質について分かりやすく解説してみたいと思います。
例えば、〇〇湯という漢方薬が体質に合う・合わないという言い方をする方がいらっしゃいます。この場合の体質というのが、「生まれ持ったもともとの体質」のイメージで捉える方が多いのですが、そうではありません。東洋医学では、「体質と症状」を合わせて「証」というのが漢方薬の合う・合わないを示す体質です。この「証」は病気によってはめまぐるしく変化することもあり、漢方薬を使うタイミングがずれると効果が無かったり、合わなかったりすることがあります。
「証」が短期間に変化しやすい代表的な病気としては「風邪」があげられます。初めはゾクゾク寒気がしていたのに、2~3日後には寒気が無くなり発熱と熱感へ、また数日経つと今度は鼻水や咳が出てきて・・・というように数時間~1日単位で症状が変わりますが、これが「証」の変化です。初めにゾクゾク寒気がするのは、風寒邪が肌表を侵襲し、正気と邪気が戦っている状態です。このときの証は「風寒表証」といい、風寒の邪気を外に追い出す働きがある辛温解表剤(桂枝湯・葛根湯など)を用います。ここで風邪を追い出せたら、その先には症状が進まずに治りますが、体内に入ってしまい、邪気が鬱して化熱してしまうこともあります。そうなると「証」が変わり、もう辛温解表薬を使う時期ではありません。例えば「寒鬱化熱証」に使う柴葛解肌湯などに変えなければなりません。
また、漢方の治療の原則は「急性病を先に治す」ということです。風邪をひきやすい体質を改善することと、今ひいてしまった風邪を治すことは治療が異なります。風邪をひきやすい体質には、例えば「補中益気湯」など気を補う漢方薬が使われますが、風邪をひいているときに「補中益気湯」は使いません。変化する「証」に応じて風邪を治療する漢方薬を使います。むしろ、「風熱表証」のときに「補中益気湯」を飲んでいたら、辛凉解表薬の効き目を悪くしてしまいます。
なので、ある漢方薬が効かなかった(または好ましくない作用が出た)からそれは自分の体質に合わない・・・と患者さんが仰る場合、その時の「証」に合ってない方剤を使った可能性もあります。ある患者さんは下痢しやすい体質(脾気虚証)で、皮膚の熱毒をとる「黄連解毒湯」は下痢をしてしまい飲めなかったのですが、下痢をしなくなるように体質改善をしてから服用したら、全く問題なく肌の調子も良くなったということがあります。
そのようなことがあるので、漢方薬を服用して合わなかった場合、なぜ合わなかったのか?を検証する必要があります。上記の様にその時の「証」と使った漢方薬が合っていなかったことが原因のこともありますし、東洋医学の「証」とは関係なく特定の薬草が合わない体質の場合もあります。(例えば麻黄で動悸が出やすい人、特定の種の植物にアレルギーを持っている人など)
相談の時に、どんなときにどんな漢方薬を使って合わなかったのかを教えていただけると、漢方薬を選ぶ際の参考になるので、名前を覚えておきましょう。
当薬局では、お客様との対話を通して、一人一人の体質や生活習慣に合った漢方・健康養生法をご提案いたします。
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