2024.1.25
慢性炎症についての新しいメカニズムについて、講演会を聞いてきましたので、皆様にもわかりやすく説明したいと思います。
慢性炎症の原因のひとつに、ミトコンドリアの破壊が関係していることが分かってきました。
20億年ほど前、ミトコンドリアの祖先は、真核生物の祖先に寄生したと考えられていて、私たちの核内のDNAとは別のDNAを持っています。真核生物の核内のDNAは、直鎖状の二重らせん構造をしています。おそらく高校の生物学などで習っているでしょうか?
ミトコンドリアのDNAは、原核生物の細菌などと同じ環状DNAです。このDNAの形状の違いが、慢性炎症と関係があるそうなのです。
ミトコンドリアは、それそのものがエネルギー生産工場になっており、エネルギーの産生と共にたくさんの活性酸素も発生させてしまいます。この発生した活性酸素を速やかに除去できれば良いのですが、除去する能力が低い場合、自身が発生させた活性酸素でミトコンドリアが破壊されてしまいます。ミトコンドリアが破壊されると、環状DNAが放出され、その形状は細菌と同じなので、免疫細胞が細菌感染と勘違いしてしまうそうなのです。
細菌感染と勘違いしたマクロファージは、炎症性サイトカインを放出し、それはミトコンドリアの破壊が治まらなければ止まることがありません。炎症を起こすことで新たな活性酸素が発生し、堂々巡りになってしまいます。
そこで重要なのは、抗酸化酵素や抗酸化物質です。抗酸化酵素は、SOD(スーパーオキサイドジスムダーゼ)、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼなどで、それらは亜鉛・銅・セレンなどのミネラルを含みます。また、抗酸化酵素では除去できないヒドロキシラジカルは抗酸化物質によって除去されます。活性酸素を効率よく除去することで、ミトコンドリアの破壊が止まり、マクロファージによる炎症性サイトカインの放出も治まります。
主な抗酸化物質には、ビタミン類のほか、植物や動物に含まれるポリフェノール類などがあります。抗酸化物質には、水溶性・脂溶性・両親媒性のものがあり、例えばビタミンCは水溶性、ビタミンEは脂溶性です。
水溶性の抗酸化物質は、血液中や細胞内のゲル状の部分(水っぽい部分)の活性酸素を除去することは出来ますが、脂質で構成される細胞膜や神経細胞の一部などは脂溶性の抗酸化物質でないと除去することはできません。両親媒性の抗酸化物質は、水にも油にも溶けるので、どちらの活性酸素も除去できるメリットがあります。また、臓器によって取り込まれやすさが異なる抗酸化物質もあるので、どれか一つが役に立つわけではなく、様々な種類を摂取することによって、より高い効果を発揮すると考えられます。
慢性炎症を防ぐには、不足しやすい亜鉛などの抗酸化ミネラル、ビタミン、抗酸化物質をしっかり摂取して、ミトコンドリアを活性酸素から守ってあげることが必要なのです。
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